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景観を知る、学ぶ、守り育てる・・・我孫子の景観を育てる会

「我孫子の景観を育てる会」は、景観づくり市民講座を受講したメンバーが『 我孫子の景観を守り・育てることで、より良いものにして誇れるようにしよう』との趣旨で、2001年6月に発足しました。
「我孫子の景観を育てる会」の活動範囲は、
1 景観を知る活動
2 景観を学ぶ活動
3 景観を守り、育てる活動
4 景観行政との協働活動
5 広報・啓蒙活動
と非常に広範囲です。
これらの活動内容概要は 「我孫子の景観を育てる会」のホームページに掲載されていますのでご覧下さい。
吉澤会長には、単なる活動の紹介ではなく「一般には目に付かない点や苦労している点等」についてお聞きしました。

日立総合経営研修所の庭園公開

「景観を知る活動」の1つとして『日立総合経営研修所の庭園公開』があります。
この研修所は、我孫子の斜面林が破壊されていく中で、緑の色も際立っていて一際目立っています。研修所の本館と別館の間にある坂道には自然が残っており、この坂道を「我孫子の坂道マップ」の作成の際に訪れたことが庭園公開のキッカケです。研修所に庭園見学をお願いして会員の見学が実現しました。見学後の感想は「この素晴しさを会員のみに止めるのはもったいないので、一般市民も味わえるようにしたい」でした。
その後「庭園の一般公開」を申し入れ、日立総合経営研修所の役員会で了承されるまでにある程度の日数を要しましたが、制約付きでOKされました。現在ではこの制約も殆ど無くなり非常に協力的です。高さ50センチほどのスロープ付きの車いす用の展望台設置や四季のパネル展示など積極的に公開活動を応援して貰っています。
この活動の計画書を見せて貰いました。非常に緻密な計画書です。計画段階での開催日程・概要確定から始まり、準備段階では道路使用申請・傷害保険加入ほかの諸手続きやポスターの作成配布・メディア告知、コンサート要請、40名を超える要員の募集・配置、実施段階・実施後のお礼・報告等、20種類の作業に分割され各作業は更に分割されています。10回を越える開催経験のノウハウが凝縮された計画書と言えるのでしょう。この計画表の他に、当日の個人別・時間帯別担当表とか場所別・時間帯別スタッフ シフト表など数種類の表を作成されており、しかもこれらの表は公開前日まで変更の連続だそうです。公開が好評なのはこれらの努力・苦労の結果だと思われます。
平成14年秋が第1回目の公開で、平成21年春が第13回目の開催になります。来訪者数は天候によって大幅に変化し、多いときは2000名以上、少ないときは500名でした。少ないときでも必要経費は同じですので、庭園公開の会計は独立した別会計とし、来訪者の少ない年は多い年より経費をまわす等、種々の工夫をされているとのことです。
        

市民観桜会
 
『市民観桜会』も「景観を知る活動」の1つです。
この活動を始めたキッカケは、会員より「我孫子ゴルフ場に立派な桜があるのだが市民は知らない」との意見がでたことです。会より「市民観桜会」の開催を我孫子ゴルフ倶楽部に提案して承諾されました。企業の地域貢献としての考えによるものだそうです。
2003年に第1回観桜会が開催され、2009年は第7回目の開催でした。入場者数は雨・風・気温・開花状況により大幅に変化し、少ない年は150名で多い年は2000名以上、当日になって雨天のために中止した年もあるとのことです。観桜界でも庭園公開と同様に会計は独立しています。
ゴルフ場が休みの日に開催されるわけですが、開催日時を決めるのは毎回半年前で、開花の時期予想がでる前ですので開催日に満開になっていない年もあったとのことでした。
市民観桜会でも、庭園公開と同様に、綿密な計画がたれられており、特に立ち入り禁止の場所や危険な場所にはロープ敷設・看板設置・監視要員配置等により気をつけているとの話でした。又、一般には気が付かないこととして、トイレの問題があるとのことです。ゴルフプレイヤー数と比較すると観桜会の入場者数は数倍となる為に、ゴルフ倶楽部が「バキュームカーによるトイレの溢れ防止」を講じてくれています。会としても「トイレットペーパーの補充」等の配慮をして、ゴルフ倶楽部へ迷惑をかけないように心掛けているとのことでした。
 

   旧村川別荘の再発見、活性化

『旧村川別荘の再発見、活性化』は「景観を守り、育てる活動」の1つです。この別荘は手賀沼湖畔の斜面林の中に建ち、東京帝大教授の村川堅固氏が我孫子宿本陣の離れを移築した母屋と新館が当時のままの状態で残っており、敷地内の斜面地と共に貴重な存在です。堅固氏の子息で東大教授の堅太郎氏が亡くなり当時の大蔵省に物納され、これを市が平成13年に買い取ったものです。 詳細はこちらをクリックしてご覧下さい。
「我孫子の景観を育てる会」が関与することになったキッカケは当時の市長からの「旧村川別荘の活性化要請」です。市の担当部署である文化課と共同で活用方法を練り、市民に知ってもらうための詳しい説明パネルの設置・ボランティアガイドの常駐・各種イベントの開催等を企画しました。実施段階で、ボランティアガイドを募集したところ大勢の応募があり、約2ヶ月間の研修を経て平成18年10月にガイド活動が開始されました。このガイドの特徴は、単なるマニュアルに従って説明するのではなく、来訪者の知りたい点を察知して重点的に説明していることです。
イベントでは、今年も竹灯篭の夕べが平成21年9月12日(土)・13日(日)に開催されます。まだ電気が通じていなかった昭和初めに使用された燈篭が残されており、これを再生して火をともします。また、別荘内に自生する竹を利用した竹灯篭による幻想的なライトアップにより旧村川別荘の新たな魅力が創出されます。開催時間は午後6時〜9時です。右の写真は昨年の竹灯篭の夕べの様子です。

この旧村川別荘のことを調査中に、昭和初期に手賀沼の環境・景観を守る運動があったことを知りました。これは、朝日新聞の杉村楚人冠が手賀沼干拓事業計画を知り、風景や環境の破壊を憂慮して「手賀沼保勝会」を立ち上げて手賀沼を保護する運動をしたことです。村川堅固氏も発起人になっています。これは「我孫子の景観を育てる会」の趣旨と合致したものです。

景観行政との協働運動

「我孫子の景観を育てる会」は我孫子市の景観条例による「我孫子景観つくり市民団体」に登録されています。
又、2008年には千葉県の景観条例による「千葉県景観づくり地域活動団体」として認定されました。右の写真はその時のものです。
関連する活動としては、我孫子市の景観シンポジウムを市と共同開催したり、県主催の景観関係シンポジウムやフォーラムにも参画したり、更には我孫子市の自治体の職員研修や長寿大学等に会員が講師となったり、活動は広範囲です。

感想

吉澤会長より「我孫子の景観を育てる会」の活動内容をお聞きしての感想は下記の通りです。
@ まず第1は、活動範囲が非常に広いことです。しかも、綿密な計画をたてて推進されていることも素晴しいことです。よく企業内で言われる PLAN−DO−SEE と同じだと思いました。
A 2番目は、「我孫子の景観を育てる会」の活動は会よりの提案から始まることです。「日立総合経営研修所の庭園公開」、「我孫子ゴルフ倶楽部の観桜会」は、会の提案が好結果に結びついたものです。
B 「庭園公開」、「観桜会」では僅かの金額ですが入場料を徴収しており、事業ごとに別会計とし独立採算となっているとのことです。別会計とするには相当の手間隙が必要ですが、これが事業を継続する秘訣の1つかもしれません。
C 「我孫子の景観を育てる会」の活動を広く知ってもらうために、メディアを上手に活用されています。新聞・テレビ・県や市の広報誌・近隣センター等でのポスター掲示等です。経験を重ねて、今ではメディア活用のノウハウが蓄積されている様子でした。
D 役所に頼るのではなく、役所を利用されています。一般的には市の補助金に頼っている団体が多いのですが「我孫子の景観を育てる会」は助成金の対象外です。市からの支援は共同主催として市の名前を使わして貰っている程度です。これらの点より「我孫子の景観を育てる会」の活動を高く評価したいと思います。
E 「我孫子の景観を育てる会」の合言葉は【出来る人が 出来る事を 出来る時に】だそうです。これは【言うは易くして行なうは難し】なのですが、実行されています。素晴しいことです。
F  会の活動は多様で、上記の他に部会の活動があります。その中の1つに「歴史景観散策」があり、会員以外の参加も可能で多数の人が参加しています。毎回、特定の散策路を設定しており、最近の散策では「"鎌倉道"遊歩道とその周辺の散策」で、参加者は30名を超えています。皆様の熱心さには頭がさがる思いです。 詳細はこちらをクリックしてご覧下さい。
 
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