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我孫子市のコミュニティビジネス

市民が作った“せっけん工場” NPO法人 せっけんの街


かつては、我孫子市をはじめ近隣の市町村の住民の憩いの場であり、多くの魚が生息していた手賀沼。
…時代は流れ、新興住宅地として発展してきた周辺地域の生活雑排水のため、1979年の調査では汚染度は群を抜いた全国一位、日本一の汚れた沼となってしまいました。
こうした現実に「ノー」と唱え、はじまった草の根の運動。それはやがて、市民が作った「せっけん工場」として実を結びます。
さて、その道のりは…

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■手賀沼を守ろう!


泡に覆われたかつての手賀沼(左)。現在ではのんびり釣り糸をたれる人の姿も見られるように。


汚染によって死んだ魚


創業間もない頃の「手賀沼せっけん工場」


韓国などアジアからの実習生も受け入れ、技術を伝えている


はじまりは、手賀沼の水質汚染が問題になった1980年代の初頭、市民活動の一環として起こった「合成洗剤追放」の条例策定の直接請求運動。
「手賀沼を守ろう!」というスローガンのもと、新・旧住民の垣根を越えた運動が展開されました。

直接請求の署名運動は短期集中の「お祭り」といったにぎやかさだったと言います。
新住民が地元の農家の縁側でお年寄りと会話しながら署名をもらうなどの、たくさんの出会いを生みながら、無事、条例が制定されました。

その後、こうした運動の盛り上がりは「市民による、せっけん工場を」と言う流れに。そしてさらに「障害者とともにつくるせっけん工場を」目指す流れにつながっていきました。

せっけん工場設立の動きは「障害者とともに廃食油でせっけんを作る工場準備会」として1982年から始まりました。
当時の中心を担っていたのは、福祉作業所の職員と生活クラブ生協。

用地確保、資金確保、廃食油回収ネットワークづくりなどたくさんの問題をクリアするための話し合い、試行錯誤が積み重ねられ、2年後には工場が完成し、廃食油回収が始まりました。。
「せっけんの街」の誕生です。

設立資金は3,000万円。そのうちの1,000万円は市民による一口1,000円の出資でした。
手賀沼せっけんの工場は、9,000人を超える市民の意思の結晶ともいえます。

工場は当初、株式会社としてスタート。その後、NPO法設立とともに「NPOせっけんの街」が設立され、さらに2003年には株式会社とNPOが統合し、「NPO法人せっけんの街」として新たなスタートを切っています。


理事長の比戸さん


我孫子市コミュニティビジネス起業化講座

■リサイクルは循環


廃食油の回収は重労働
写真は清掃会社の経営者。こうした応援団の力で支えられている


インターンシップの学生さんたち
夏の炎天下、回収に汗を流す

手賀沼の浄化→廃食油の回収→せっけん作り。
この流れをどんどん進めていくとどうなるかというと…
たしかに浄化には役立つ流れですが、一方通行の流れでは作られたせっけんがどんどんたまっていくということになりかねません。

「資源の一方通行ではリサイクルとはいえない、出した人が使ってこそ、リサイクルの循環が生まれる」

この考えのもと、廃食油の回収はせっけんの買取を条件に行なわれています。

我孫子市では学校給食のせっけんとして使われるようになり、資源が循環していることを子どもたちに伝えるきっかけにもなっています。


せっけんの街の商品
従来の粉石けん以外に、固形せっけんも開発されている

■さまざまな取り組み


小学校での環境授業(せっけん授業)「せっけんの語り部養成講座」


中学校では家庭科の2時間の授業を使って合成洗剤との比較実験
「子ども時代からせっけんに関心を持ってもらいたいと願っています。」

「せっけんの街」では、せっけんの製造・販売だけではなく、環境イベントへの参加・開催や学校での環境学習を通じて、せっけん利用を呼びかけるとともに、環境への意識を高める活動に努めています。
その一端を写真でご紹介します。


エンジョイ手賀沼でのせっけん作りのデモンストレーション


お祭りでの豚汁販売では使い捨て容器は使わない。食べた後、食器をぼろ布でふいてもらってからせっけんで洗うという体験イベントを実施。
「豚汁は4,500食売れました。」


現在のせっけんの街の年間収入は、売り上げ、会費、助成金などをあわせて年間3500万円。

事業に専念するだけではなく、地道なイベントや教育などの行動を同時に進めている。
「まちづくりはミッションそのもの。そのため、自分たちのグループが単独でせっけん作りをするのではなく、市民ひとりひとりが手賀沼を守るという意識を持って協力し合える仕組みを作っていきたい。」

理念から生まれた事業と、地道な啓蒙活動の共存。今後もこうした「せっけんの街」の行動が手賀沼を守っていく。

 
●概要

名称 NPO法人 せっけんの街
所在地 千葉県柏市青田29-2
設立年 1982年(準備会設立)
代表者氏名 理事長 比戸壽代
活動分野など 家庭用廃油の回収によるせっけん作り
URL http://www.sekkennomachi.org/

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